レストランでワインをボトルで頼むと、最初に少しだけグラスに注がれることがあります。

あの瞬間、少し緊張する人は多いと思います。香りをかいで、口に含んで、何か言わなければいけない気がする。味がわからないのに「おいしいです」と言っていいのか。もし苦手だったら変えてもらえるのか。周りから詳しくないと思われないか。

でも、ワインボトルのテイスティングは、味の好みを評価するための時間ではありません。

基本的には、そのワインに明らかな異常がないかを確認するためのものです。つまり、「自分の好みに合うか」ではなく、「このボトルが問題なく飲める状態か」を見る場面です。

初心者なら、次の4つだけ押さえれば大丈夫です。

  • テイスティングは味の審査ではない
  • 問題なければ「大丈夫です」と伝える
  • 好みではなかっただけなら、基本的にはそのまま飲む
  • 不安なら、テイスティングを省略してもいい

これだけで、かなり落ち着いて対応できます。

テイスティングは味の審査ではない

まず知っておきたいのは、テイスティングは「このワインが好きか嫌いか」を言う場面ではないということです。

レストランでボトルワインを頼むと、店員さんがラベルを見せてくれて、そのあと少しだけ注いでくれます。これは、注文したボトルに間違いがないか、そしてワインが傷んでいないかを確認するための流れです。

なので、飲んでみて「思ったより酸っぱい」「少し渋い」「自分の好みと違う」と感じても、それだけで交換してもらうものではありません。

たとえば、赤ワインに渋みがある。白ワインに酸味がある。これは普通のことです。ワインによっては香りに土っぽさや木の香りがあることもあります。それがそのワインの特徴なら、問題ではありません。

見るべきなのは、明らかにおかしい感じがあるかどうかです。

  • 濡れた段ボールのようなにおいがする
  • 酢のようにツンとする
  • カビっぽさが強い
  • 果実味がなく、変にくぐもっている
  • 口に入れたときに明らかに不快な違和感がある

ただ、初心者がここまで細かく判断するのは難しいです。だから、無理に詳しいふりをしなくて大丈夫です。

「変なにおいがしないか」「普通に飲めそうか」くらいの確認で十分です。

問題なければ「大丈夫です」でいい

実際の動きはかなりシンプルです。

グラスに少し注がれたら、まず軽く香りを見ます。グラスを大きく回したり、長く考え込んだりする必要はありません。鼻を近づけて、変なにおいがしないかを確認するくらいで大丈夫です。

香りに大きな違和感がなければ、少しだけ口に含みます。量はほんの少しで十分です。一口しっかり飲む必要はありません。

ここで見るのも、味の良し悪しではありません。赤ワインなら渋みがあることがあります。白ワインなら酸味が強めに感じることがあります。そういう特徴を「おかしい」と思わなくて大丈夫です。

普通に飲めそうなら、店員さんにこう伝えます。

大丈夫です。

お願いします。

これでお願いします。

このくらいで十分です。

「おいしいです」と言ってももちろん問題ありませんが、テイスティングの目的を考えると、「大丈夫です」が一番使いやすいです。状態に問題がないことを伝える言葉だからです。

ここで長い感想を言う必要はありません。

店員さんは、その一言を受けて同席者のグラスに注いでくれます。あとは普通に食事と一緒に楽しめば大丈夫です。

もし同席者がいて、自分だけがテイスティングする流れになったとしても、重く受け止めなくていいです。代表してボトルの状態を確認しているだけです。味の専門家として評価しているわけではありません。

もし香りや味に明らかな違和感があれば、断定しなくても大丈夫です。

すみません、少し香りが気になるのですが、見ていただけますか?

こう言えば自然です。ワインに詳しくないことを隠す必要はありません。状態が気になるなら、店員さんに確認してもらえば大丈夫です。

苦手な味だったらどうするか

ここで少し迷うのが、「飲んでみたら好みではなかった」ときです。

結論から言うと、明らかな異常がないなら、基本的にはそのまま飲みます。ボトルで頼むというのは、そのワインを選んで開けてもらうことなので、「思ったより好みじゃない」という理由だけで交換するものではありません。

ただし、注文前なら相談できます。

ボトルを開ける前に、こう聞くのは自然です。

重すぎない赤がいいです。

すっきりした白がいいです。

ワインに詳しくないので、飲みやすいものを選んでもらえますか?

この段階で好みを伝えておくと、外しにくくなります。

もし開けたあとに「ちょっと渋いな」と感じたら、料理と合わせてみるのも手です。赤ワインの渋みは、肉料理や脂のある料理と合わせるとやわらかく感じることがあります。白ワインの酸味も、魚や前菜と一緒だと飲みやすくなることがあります。

それでも苦手なら、無理にたくさん飲まなくて大丈夫です。水を飲みながら、ゆっくり少量にする。次からは「軽めがいい」「渋すぎないものがいい」と伝えればいいです。

失敗をゼロにするより、自分の好みを少しずつ言葉にできるようになるほうが大事です。

テイスティングは省略してもいい

テイスティングにどうしても緊張するなら、省略しても大丈夫です。

店員さんに「テイスティングされますか?」と聞かれたら、こう答えても自然です。

大丈夫です、そのままお願いします。

お任せします。

きちんとしたレストランでは確認の流れがあるので、軽く香りを見て「大丈夫です」と言えるなら、それが一番わかりやすいです。でも、慣れていない場面で無理に飲んで、固まってしまうくらいなら、最初から省略しても問題ありません。

大事なのは、作法を完璧にやることではありません。店員さんとの確認を落ち着いて進めて、その後の食事を気持ちよく始めることです。

まとめ

ワインボトルを頼んだときのテイスティングは、詳しさを見せる場面ではありません。

基本は、ボトルの状態を確認するだけです。

  • 香りに変なにおいがないか見る
  • 少し口に含んで、明らかな違和感がないか見る
  • 問題なければ「大丈夫です」と伝える
  • 自信がなければ店員さんに確認してもらう
  • 好みの相談は、ボトルを開ける前にする
  • 緊張するなら、テイスティングを省略してもいい

最初は、これだけで十分です。

テイスティングで大事なのは、専門家っぽい言葉を言うことではありません。変なにおいや違和感がないかを落ち着いて確認し、問題なければ「大丈夫です」と伝えることです。

次にボトルワインを頼む機会があったら、深呼吸して、香りを軽く見て、少しだけ口に含んでみてください。難しいことをしなくても、それだけでちゃんとテイスティングになっています。